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課題

定番商品になるには? 植物を原材料とする日用品を取り扱う消費財メーカーに所属しています。今年の夏、デオドラントはもちろんのこと、自然のハーブを生かした、フレグランスとしての効果も高いスプレータイプの制汗剤を発売することになりました。できることならば、新商品を消費者の皆さまに「定番商品」として認識してもらいたいと考えているのですが、そのためにはどのような訴求をすれば良いでしょうか? 日用消費財メーカー


よく行くコーヒーショップといえばどこですか?と聞かれたらあなたはどのお店を思い出しますか。
例えば、スターバックスだったりタリーズだったりルノアールだったり、いくつかのお店がパッと頭の中に思い浮かぶと思います。

このように、○○といえば?という問いに対して咄嗟に頭の中に浮かぶ選択肢の組み合わせのことを、マーケティング ではエボークト・セット(想起集合)と呼ぶのですが、今回ご相談いただいたように、ある商品を消費者の中で「定番商品」として認識させるには、まさに消費者のエボークト・セットに割り込む必要があります。

それでは、一体どのようにすれば「制汗剤といえば?」という問いに対し、ご相談者さまの新商品を思い出してもらえるようになるのでしょうか?

例えば私の場合、カップ麺といえば日清のカップヌードルを思い浮かべます。カップヌードルの美味しさの秘訣について十分理解している訳ではないのですが、なぜかカップ麺が食べたくなるといつもカップヌードルが頭の片隅をよぎります。
ではなぜこのような現象が起こるのでしょうか。
よく考えて見たところ、1つ心当たりがありました。思い起こしてみると、カップヌードルのCMには印象的なものが多いですよね。原始人がマンモスを追いかけていたり、某俳優さんがラーメン片手に歴史的瞬間に立ち会っていたり。つまり、カップヌードルのCMは記憶に残りやすいのです。

Jenni Romaniuk 著の「Building Distinctive Brand Assets」によると、消費者のエボークト・セットに入るには、まず何より「目立つこと」そして「ユニークであること」が大切であるとされています。
ですので、ご相談にあるように商品を定番として認識してもらいたいということであれば、「どのような訴求をすべきか」ではなく「いかに目立つか」について熟考する必要があります。

但し、上記の事例のような強い認知の獲得をメインの目的とするコミュニケーションは、上手く行けばこそ大いなる効果を発揮しますが、その一方で失敗すると多大な損失を被る可能性もあるので、リスクについては十分検討する必要があります。
なぜなら、商品の購入に結びつけるには、選択肢の1つとして割り込むだけではダメで、その中から選ばれなくてはならないからです。

冒頭事例では「よく行くコーヒーショップ」として3つのお店をあげましたが、今まさにコーヒーが飲みたい時に実際に足を運べるのはたったの1軒。どの店舗も同じエリアに近接してあるとすると、恐らく、自分の中で1番存在が大きい、言い換えると、最も好感度の高い店を選ぶのではないでしょうか。

目立ってナンボのエボークト・セットとはいえ、「悪目立ち」ではなく「いい意味で目立つこと」が必要不可欠になります。
ユニークで目立つものを目指した結果、逆に炎上を引き起こし、ブランド毀損になってしまったという事例はこれまでも数多見てきましたよね。

さて、長々とエボークト・セットについてお話してきましたが、そもそも「定番商品」というのはいつもあるもの、長年愛され続けているものです。
正直なところ、ご相談のような新商品をいきなり定番にするのは難しいのではないかと思います。
また、本来であれば、消費者のエボークト・セットに入るにはCMなどマスでのコミュニケーションの方が効果を期待できますが、会社の規模やブランド予算によっては、それが困難なこともありえますよね。

よって、ご相談者様の状況を詳しく知るわけではありませんが、マスで目立つよりも、まずは棚をたくさんとる、もしくはよりいい場所をとって目立つことを目指してみてはいかがでしょうか。
そして、棚をとるためにも、愛されるブランドづくりに注力するというのはどうでしょうか。
一見遠回りのように見えますが、多くの人から支持されるブランドは、遅かれ早かれ結果的には「定番入りする」というゴールに達成することが多いものです。