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課題

PR動画を使ったコンテンツマーケティングについて 消滅可能性都市と呼ばれる地域の自治体に所属し、地域活性の業務に携わっております。

まちの少子高齢化・人口流出になんとか歯止めをかけたいという思いから、この度、地域の魅力をふんだんに盛り込んだ移住促進のユニークなプロモーションビデオを制作しいたしました。自治体HPに投稿したところ、公開するやいなや、SNSなどでも話題となり、想定していたよりもずっとたくさんの方から反響があったのですが、本題の移住促進はというと、とても上手くいっているとは言えない状況です。何がよくなかったのでしょうか?
地方自治体


YouTube動画や「全国移住ナビ」の掲載用など、現在では様々な自治体で移住や観光を促進するためのPR動画が作成されています。こうした取り組みが盛んになった背景には、昨今コンテンツマーケティングの考え方が日本に定着しつつあることが挙げられます

コンテンツマーケティングとは、ブログや動画などのコンテンツツールを使って、情報発信者(企業や自治体、個人)が伝えたい情報を、消費者(読者)にとって価値のある体験として伝達することで、発信元が望んでいる行動(いいね!やシェア商品購入など)を取ってもらうようなマーケティング手法を指します。

インターネットやSNSの台頭により、大規模な広告宣伝を打たなずとも広域での情報発信が可能になり、多くの企業や自治体がコンテンツマーケティングに着目するのも頷けます。

お話によると、相談者さまが制作に携わったPR動画は、多くの人に拡散・反響があったにも関わらず、移住促進にはつながらなかったとのことでしたね。

以下にコンテンツを制作する際に留意するといいことをいくつかまとめたので、チェック項目と照らし合わせながら、もう一度ご相談者様が制作したPR動画を見つめ直すことで、何かしら課題が見つかるかもしれません。

1.コンバージョンの設定を正しくしているか

コンテンツマーケティングを語る上で外してはいけないのが「コンバージョン」と呼ばれる概念です。コンバージョンとは、提供するコンテンツと接点を持った消費者に最終的に起こしてもらいたいゴール(アクション)のことを指しますが、コンテンツマーケティングでは、発信したい情報を広く知ってもらうと同時に、このコンバージョンの確率(消費者にアクションを起こさせる確率)を上げていくことが極めて重要になります

それでは、今回の事例におけるコンバージョンは何かというと、もちろん移住になります。

ご相談者さまがいうユニークさがどのようなものだったのかはさておき、近年では、他の地域と差別化を図るために、おもしろおかしく作り込まれたPR動画が散見されるように思います。しかしながら、コンバージョンが「動画再生」ではなく、「移住」にあるとするのであれば、単に奇を衒ったおもしろ可笑しい動画は効果的であるとは言えません。

また、ここで1点気をつけたいのが、先ほど今回の事例のコンバージョンは移住であると申し上げましたが、PR動画自体がオンラインでの消費者とのコミュニケーションになるので、厳密には、「移住する」というオフラインで完結する行為ではなく、「移住説明会への参加」や「移住に関する資料のダウンロード」などオンライン上でトラッキングできる消費者の移住に対するアクションになります。

2.ペルソナの設定ができているか

誰に向けてプロモーションを行うのか(who)という視点は、コンテンツマーケティングにおいても必要不可欠であり、かつ、その誰に向けて

例えば、今回の事例にある移住促進という分野では、よく「子育て世代」をターゲットした施策が見受けられますが、「子育て世代」という十把一絡げの考え方では不十分です。

それぞれ土地は異なるがお互い田舎の出身で、子育ては、自分たちが生まれ育ったような自然豊かな場所で行いたいと考えている夫婦。子どもは二人。元々夫がクリエーター業であるため移住後も在宅勤務が可能である。といった具合に、現実的に当該地域で充実した生活を送ることができる家族像をしっかり定めることが重要です。

また、ペルソナがどんな人かにとどまらず、当該地域でどのように暮らしていくのかという生活風景まで詳細に思い描くことが出来れば、コンテンツを制作する上で非常に役立ちます。

拡散させることでリーチを伸ばし、よりたくさんの人にPR動画を見てもらうことももちろん大切ですが、たくさんの人に見てもらうために大衆ウケするものや話題性だけを狙ったバズ動画を作成するのは、マーケティングとして本末転倒です。どんな人にどんなメッセージを伝えるための動画なのか、今一度再確認してみてください。

3.CTAを設定しているか

CTA(Call To Action)とは、マーケティング用語で、消費者の行動を喚起することを示します。よく、webサイトなどで、「いますぐ資料請求をする」「メールマガジンに登録する」「購入はこちらから」といったボタンやリンクが表示されていますが、これらは全てCTAに当てはまります。

今回の事例は動画なので、ボタンやリンクを表示するわけにはいきませんが、動画の最後に、自治体名と「検索してね!」といったコメントを表示することで、自治体オウンドメディアへの流入を誘発したり、さらにそこに移住体験や説明会の告知を分かりやすく表示することで、それらのイベントへの申し込みを促すなど、できる工夫は様々にあるはずです。

ご相談者様のPR動画が広く拡散し、たくさんの人から反響があったというのであれば、きっとその動画は魅力的だったに違いありません。

しかし、せっかく魅力的な動画で多くの人に興味を持ってもらったにもかかわらず、「その後どうしていいのか分からない」という理由で、去られてしまうのはもったいないですよね。

さて、話が大変長くなってしまいましたが、こうしてみると商品やサービスのマーケティングもコンテンツマーケティングも、根本的な部分ではあまり変わらないような気がします。ですので、繰り返しになりますが、コンテンツマーケティングだからと言って、シェアや拡散、いいねの数だけに囚われるのではなく、迷った時は「誰に何をどのように伝えるのか(who what how)」といったマーケティングの基礎的な部分に立ち戻ってみることをお勧めします。