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課題

マーケティング活動の長期効果を測定するには 初めまして。耐久消費財メーカーでマーケティングの部署に在籍する者です。我が社のマーケティング活動による売上への寄与率の分析を行ったのですが、あまり効果がないように見受けられます。

しかし、この状況から単純にマーケティング活動を減らすといったことを行うとROIでは計測できない「長期的な効果」を無視してしまうことになりかねないと考えています。

このように考えた時に将来に渡ってマーケティング費用は最小に、短期・長期両方のマーケティングに対する効果は最大にするためにマーケティングの長期効果の観測はどのように行ったら良いでしょうか?
消費財メーカー


ご質問ありがとうございます。

質問者様もお気付きのように、ROIによる広告の評価は短期的な視点に陥る可能性があるので、長期間における広告のROIの指標があることによって長期を見据えた計画立案ができるようになります。

マーケティングの長期的効果については、短期的効果の約2~3倍と言われることが多いですが、当然、商材やマーケターによって「長期」の定義が異なりますし、マーケティングの長期的効果は直接的に測定することが難しいため、人によっては長期的効果を信じないといった立場を取る方もいます。

このような限定性を理解した上で、マーケティングの長期的効果を観測するために以下のような指標が提案されています。

1.需要の価格弾力性

需要の価格弾力性とは、価格の変化率に対して、需要量がどれだけ変化するかの比率を指したものです。広告がブランド選好を高め、消費者が商材に対してより多くの金額を払いたいと考えるようになるとする立場に立つと、価格弾力性による測定が考えられます。

この指標を長期的に観測することによって、消費者の価格感応度の変化が分かり、広告により形成されたブランド力が大きい商品ほど多少の価格変化が生じても、需要の変化は小さくなります。

2.ブランドエクイティ

ブランドエクイティとはブランドが持つ有形・無形の価値です。広告がどれだけこのブランドエクイティを向上させることに寄与しているかを計測することで広告の長期的効果を把握しようという考え方です。

3.リピート購買

広告が消費者の購買を促進させるという考え方に立てば、リピート購買による測定があります。リピート購買とは、ある期間内において、消費者が自社ブランドを何回購入したかを観測することを指します。これは消費財などの購入回数が多くなる商材でとりわけ当てはまりが良い考え方になります。

ただし、近年では、購買行動はある程度ランダム性をもっておこなわれ、リピート購買回数は浸透率と正の相関がありそれに依存する、という科学的な検証に基づいた考えもあり(ダブル・ジョパディー理論)、リピート購買の伸長は必ずしも広告効果によるとは言えない可能性も大いにあります。

4.ベースラインの分解

広告が消費者の認知・差別化・選好に影響しているとすると、売上=広告を出稿したことによる売上+広告を出稿せずに得られた売上(ベースライン)と分解した時のベースラインが増加することがマーケティングの長期効果とする考え方があります。ただし、配荷の増減はベースラインに組み込まれることが多いので、注意が必要です。

さて今回は、広告による長期効果の測定方法について、いくつか簡単にご紹介させていただきましたが、どの方法にもそれぞれに弱点が存在しており、また、実際にマーケティングの長期的効果を把握することはデータの蓄積がない、データの定義が変更されるなど様々な理由から大変困難になります。

そのため、以上の指標に対して完全に信頼を置くのではなく、あくまでもマーケティング活動の意思決定における参考の一つとしてください。