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マーケティングとブランディングの違いについて


ワタクシゴトですが、先日、眼鏡を新調しました。

その時に出会った店員さんが、巧みにマーケティングとブランディングの手法を使われていたので、今回はその際のお話をベースにマーケティングとブランディングの違いについてお話したいと思います。

その日は、なんとなくお店と商品は決めてはいたものの、いざ買うとなると踏み切れず、最初に訪れたお店では買いませんでした。仕事帰りだったこともあり、半ば当日の購入は諦めていたのですが、その帰り道のこと、たまたま2軒目のお店を発見しました。

早速入店し眼鏡選びを再開。トレンドや眼鏡の機能、私の骨格にあう形状やかけた時の印象などその時対応してくれた店員さんの知識の豊富さには心底感心したのですが、私が何より驚いたのは、眼鏡を調整している待ち時間のことでした。

マーケティングとブランディングについて考えてみよう。

マーケティングとブランディングについて考えてみよう。

店員さん:「お客様コンタクトはご使用ですか?実はコンタクトも販売していまして。」
私:「普段はコンタクトを使っています」

店員さん:「そうなんですね。この近隣ではウチ以外にも、リーズナブルな価格でコンタクトを提供するお店が何軒かあるのですが、入店されるお客様と会話をしていると、買うまでの待ち時間が長いというお話をよく伺います。」

私:「そうなんですよね。時間に余裕があればいいのですが、今日みたいに仕事帰りに寄るとなかなかそうも行かなくって。コンタクトを購入するためのスケジュール調整が結構大変だったりするんですよね。」

店員さん:「うちの場合、特に度数の変更がない場合、電話でお名前をおっしゃっていただければ、事前に注文しておきますので、お客様にご来店頂いたその場でお支払とお渡しを同時にしていただけます。」

私:「それは有り難いですね。次回購入する際はぜひお願いしたいと思います。」

さて、上記の会話の中に、実はマーケティングとブランディング2種類の要素が隠されているのですが、どの部分がマーケティングでどの部分がブランディングに当たるかわかりますか?

マーケティングとブランディングの違い

そもそもマーケティングとブランディングの違いって何でしょう。ホジョセンでは、以下のように定義しています。

マーケティング:意思決定の軸を動かすこと

ブランディング:動かした軸にブランドを適合させる為、ブランドに意味付けを行うこと

以上を踏まえて先程の会話をもう一度見てみましょう。

まず、コンタクトを買うにあたって、人それぞれお店を選ぶ基準があるはずです。どのような基準で選んでいるかがとても重要になってきます。安さなのか、対応の丁寧さなのか、お店へのアクセスのしやすさなのか、そもそも特に意識していないのか。

この選ぶ基準に対して、アプローチをするのがマーケティングです。

店員さんは、会話の中に「お客様から買うまでの待ち時間が長いというお話をよく聞く」という内容を織り交ぜることで、コンタクトを買う際には「購入までの早さ」がとても重要だと想起させています。こんな風に言われるとついつい「確かに、そういえば自分も待っているな。」と思う方もいらっしゃるはずです。例えば、それまで安さだけを気にしてコンタクトを購入していた人に対し、早さに対する需要も生まれるように働きかけています。

では、上記の会話におけるブランディングの要素がどこにあるのかというと、「うちの場合、特に度数の変更がない場合、電話でお名前をおっしゃっていただければ、事前に注文しておきますので、お客様にご来店頂いたその場でお支払とお渡しを同時にしていただけます。」という部分です。

この会話では、お客様に対してブランドが提供する価値が「購入までの早さ」であることを提示した上で、お客様にきちんと自社のブランド=「早い」というイメージが構築されるようにアピールしていますよね。

リーズナブルな価格という点においては、他社も謳っている中で自社も勝ちにはいかないが負けない領域であると前置きしながらも、「早さ」においては他社には負けない自社の強みと位置付けています。また、早さを担保できるビジネスモデルがあることを伝えていることで、ウリに対しての信頼性が生まれ、よりお客様に納得されやすくなっています。さらに、それまでの店員さんのテキパキと無駄なく動く姿も、早さを実現するひとつ根拠なりますね。

消費者はそういった様々な要素から総合的にそのブランドの認識を判断するのです。

マーケティングとブランディングはニコイチ

マーケティングとブランディングはどちらか1つだけで成り立つものではありません。

確かに、マーケティングだけでも消費者の意思決定の軸を動かすことで市場に変化をもたらす事はできますが、それだけではより新しい意思決定の軸のイメージに近い他社ブランドが選ばれるだけです。今回の事例の場合だと、自社ブランド=早いという認識がきちんとされていなければ、より早いと認識される他社にお客様が流れてしまいますよね。

また、ブランディングが成功していて、いくらあのブランドは早いと認識されていても、消費者にとって「早さ」が重要だと思われていなければ結局、選ばれる事はありませんよね。

つまり、必ずマーケティングとブランディングはニコイチ、両側面で商品価値を訴えていく必要があるのです。

市場拡大戦略が奏功するのはトップブランドだけ

市場自体を拡大させようとすることを狙いに、マーケティングだけを行うという施策も例外として存在します。例えばCMで「眼鏡は印象を変える、あなたを知的に魅せる、とっておきのアイテムです。」といった内容の広告があるとします。その際、自社ブランドへの訴求が極端に少なかったとすると、カテゴリーそのものの需要を増やそうとしている可能性があります。

確かに、特定のカテゴリー全体の需要が高まれば、自社ブランドへのリターンも見込めるでしょう。しかしながら、そのリターンはシェアの割合に応じて決まってくるのです。

その為、このような特定のカテゴリーにおける市場拡大を狙った施策は往々にして、当該カテゴリーのトップブランドが行っています。

もちろん、カテゴリーのシェアが大きければ大きいほど、そのブランドは消費者が購入する際に頭に思い浮かべる選択肢の上位にあがってくる可能性が高くなるので、選ばれやすくなるということもあるのですが、一番に選ばれるのはトップブランドです。

また、市場全体に訴求するということは、よりマスに向けて発信するということ。それゆえ、広告の頻度や媒体などもそれなりの規模が求められ、それに耐えうるだけの資金力や人材がいる大企業でなければ、こうした施策を実行することができないのです。

逆にトップブランドではないブランドが、訴求内容と自社ブランドの紐付けが上手く行われていない状態でこのような施策をとると、多大な広告費を使ったにもかかわらず、他のブランドが選ばれるという悲劇がおこってしまいます。

さて事例では、店員さんは購入までの早さに対する認識の変化、自社ブランド=早いという消費者に対する認識の変化、両方を消費者が納得できるような形で伝える事でマーケティングとブランディングの両方を実現されていました。

今回のコラムを通じて、皆さんに、自分たちの強みは何で、一体誰に、どのような認識の変化をさせたらよいかということをきちんと考え、そしてそれらがきちんと実現されているか、伝わるコミュニケーションになっているかということがいかに重要かお分かり頂けたのではと思います。