ページ読み込み中

ニーズ探しの旅から脱却のススメ


お客様とお話をしている時に、消費者のニーズを探すことが非常に難しいという話をよくいただきます。先日も商品開発の担当者の方が「ニーズを探しているんだが、なかなか見つからない。」とぼやいてらっしゃいました。消費者のニーズに応える商品をつくれば、売れるに違いないし、消費者にも喜んでもらえるはずだとの考えがあってのことだと思います。

ニーズって何だろう?

ここで改めて「ニーズ」とは何かを考えてみましょう。弊社では「重要でかつ満たされていないもの」と定義しています。重要だけど満たされているものはニーズではないですし、満たされていないけれど重要でもないものもニーズではありません。

例えば、コンビニエンスストアで考えてみます。ある人が、暑い日に今すぐ冷たいお茶を飲みたい!とコンビニに入ります。冷たいお茶で喉の渇きを潤すという重要な欲求は満たされますから、「重要でかつ満たされていないもの」というニーズの要件から外れてしまいます。

そして、お会計の際に店員が無愛想に対応した…それでもこれは一般的にはさして重要ではないので、愛想の良い対応をしてくれらなぁという気持ちは、満たされなくてもニーズにはならないことが一般的です。店員が無愛想だから店を変えるとはならないことが多いからです。満たされていないけれど重要でもないものの例になります。

ニーズの所在地

ニーズの所在地

ニーズの所在地

このように考えてみると、ほとんどのモノやサービスが、重大な不満があるレベルを超えて、満足いくレベルになった現代において、ニーズは非常に少なくなっています。もちろん「ガンの特効薬が欲しい」とかそういった科学の進歩を待っているニーズはありますが、消費財やサービスのエリアにおいて、実際のニーズの所在は以下の図程度のサイズしかないと思います。

実際のニーズはこのくらい

実際のニーズはこのくらい

ニーズ探しの旅から脱却のススメ

では、その狭いエリアにあるニーズをどのように見つけたらよいのでしょう。

最初の課題に戻りますね。ひとつは、頑張って探すことでしょうか。探す方法は様々ありますが、こちらは別の機会にお話をするとして…。頑張って探す場合、すぐに見つかれは素晴らしいのですが、ほとんどの場合、時間と労力がかかってしまいます。いつ見つかるともしれないニーズ探しの旅に出ることは、正直なところあまりお勧めはません。もし社内的に問題がなければ、別の方法をお勧めしたいです。

ではどうするのかというと、消費者の認識の軸をずらすことでニーズを新たに作り出してみてはいかがでしょうか?

コミュニケーションによって、重要でないと思っていたことを重要だと認識させたり、満たされているものを満たされないと感じてもらったりすることで、消費者にとってニーズではなかったものをニーズに変えることができます。

例えば「綺麗だと思っていたベッドには実はダニの死骸がこんなにもあり、アレルギーの原因になりますよ…」というコミュニケーションがあれば、重要ではない(どころか思いもしない)ことだったのに、自分の布団が急に汚く思え、布団に掃除機をかけることが「重要」になります。

コミュニケーションによって「重要でかつ満たされていないもの」つまりニーズが出現したのです。特に見えないはずのダニの死骸が映像で見えたりすると効果てきめんですね。こちらは布団用掃除機の広告だったのですが、無かったところにニーズを作り出した一例です。

他にも「カビには根があって…」というCMにドキッとした方もいらっしゃると思いますが、見えないもの、感じていないものを「あるもの」と認識させることでニーズを作り出す方法はよくありますね。それ以外にも、考えもしなかった「もしもの時」を想定させたり、過去の行動を覆すほどにインパクトのある「データ」を指し示したり。もちろんネガティブだけでなくポジティブなことでも新たな認識を消費者にもたせることで、ニーズを作りだすことが可能です。広告の枠で考えるとたった一言なのかもしれませんが、消費者の認識を変えたり、判断軸をずらしたりするコミュニケーションというのは、本当に秀逸だと思います。

過去にも多くの企業がこの方法でニーズを作り出してきており、私も何度かうまい切り口に驚いてきました。ですが、きっとまだまだニーズを作り出すコミュニケーションはあるはずです。

認識の軸をずらすタネ探し

ではどのように、この消費者の認識をずらすタネを探していくのかという部分に関して考えてみたいと思います。大きく分けて、消費者理解を起点にする方法と、商品開発の現場から引っ張り出してくる方法があると思います。消費者理解については別のブログでも詳しく書きますが、消費者インサイトの深堀からタネを探してくる方法となります。

もうひとつは商品開発の現場から持ってくる方法ですが、意外とここが抜けていることが多いです。商品開発の部門の方は、開発の過程で学術的な知見、実験の結果などから得られた商品の機能や特徴の裏にある背景情報をたくさんもっています。その辺りに新しい視点を加えればコミュニケーションのタネになる可能性があります。ぜひ雑談をしに商品開発部門に通ってみてください。

他には、ものすごく特殊な使い方をしている人に話を聞いてみるというのも面白いかもしれません。特殊な使い方をしている人の中には、普通では思いつかないような論理が隠されていることもしばしばあります。そんな中に、軸をずらすヒントが隠れているかもしれません。

今回はニーズが見つからないという方に向けた「ニーズを作ってしまおう」という提案でした。消費者の認識の軸をずらすという発想は実はマーケティングの世界では非常に大切な考え方です。ぜひ新しい軸探しをして、新しいニーズを作ってみてください。