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課題

「規模」より「密度」の経済!飲食店の多店舗展開戦略 飲食店を経営しています。現在の店舗は駅前の比較的人通りの多い場所に位置しており、おかげさまで売り上げも順調です。将来的には売り上げをさらに伸ばすためにも複数の店舗を構えたいと考えているのですが、多店舗展開をするにあたって注意すべきことはありますか? 飲食店経営


お店が繁盛されているのはとても素晴らしいことですね。

飲食店を経営されている方で、売上アップを目指して多店舗展開を検討される方は多いのではないかと思います。ただ、いきなり厳しいことを言うようではありますが、ビジネスとして考えた場合、フランチャイズやチェーン展開をするわけでなければ、飲食店において複数の店舗を構えるメリットはあまりないと言わざるをえません。

その理由として、飲食業界は経費における固定費の割合が低く、規模の経済がはたらかないということがあります。

固定費とは、生産量や販売量の増減に関わらず一定にかかる経費のことを言います。一方、生産量や販売量に応じて変動する経費のことを変動費と呼びます。飲食店を経営する上でかかる経費として、店舗の家賃、光熱費、人件費、材料費が挙げられますが、複数の店舗を構えるとなると、これらはいずれも変動費とみなされます。店舗数に比例してこれらの経費も増加するからです。

よって、多店舗展開をして売上が伸びたとしても、同時にこうした経費も増加し、その分リスクも増えるということをまずはしっかりと理解する必要があります。

また、店舗数を増やすと、仕入れ量が増加するため、規模の経済により仕入れコストを削減することができるのではないかと考えられがちですが、原材料単価の安い飲食業界において、店舗数が数店舗増えたところで、収益率に影響を与えるほどの仕入れコスト削減にはつながりません。

もし、フランチャイズやチェーン展開のように十分な数の店舗を経営するとなると、本部が広告宣伝を一括して行うなど、店舗間で共通する固定費が生まれ、仕入れコストの削減も含めて規模の経済を期待することができますが、規模の経済がはたらくのは固定費の割合が高い場合であり、多店舗展開によるメリットを実感することができるのは、このようにかなり大規模な店舗展開を行った場合のみと言えます。

とはいえ、こうした事実を踏まえた上で、店のブランドや味に自信があり、店舗数を増やすことでリスクよりもリターンの方が大きくなると判断できる場合は、2店舗目、3店舗目を出店することを考えてもよいでしょう。

その場合には、規模の経済ではなく「密度の経済」を考えることが大切です。

密度の経済とは、限られたエリアに集中して事業展開をすることで得られる経済効果のことを言います。2店舗目を現在の店舗の近くに出店した場合、離れた地域に出店するよりも物流コストの削減が期待でき、また人材の相互の移動や広告宣伝の共有なども可能になります。また、一方の店舗に集客が偏っている場合は、もう一方の店舗にお客さんを誘導することもできるでしょう。

このように、多店舗展開を検討される場合は、固定費の割合が低く、規模の経済がはたらきにくいという飲食業界の特徴を踏まえた上で、密度の経済という観点で戦略を練られると良いと思います。