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生活者に寄り添ってみよう〜エスノグラフィ調査


ターゲットの消費者を定義し、彼らの理解をすることの重要性を説いてきたのでありますが、今回もその続きです。お題はエスノグラフィ調査。Ethnography。日本語にすると文化人類学における民族誌。そういえば、ブログで代表的な定性調査についてまとめていたのを思い出しました。今までデプスインタビューグループインタビュー訪問調査について書いてますが、今回はもう少しゆるめにお送りしようと思います。

「エスノグラフィ」ですが、数年前からマーケティングにおいて非常に注目されています。文化人類学がどうマーケティングに活かされているのか。文化人類学とは、人類が後天的に学習した行動パターンに関する学問の総称ですが、その中でも民族誌というのは、ある民族・部族に対する研究になります。そしてよくある研究手法は、ある部族と生活を共にしながら、その部族特有の行動パターンを研究するというものであります。

ちょっと見えてきたでしょうか。マーケティングにおける Ethnography は、消費者とともに生活、行動することによって、消費者の思考や志向、行動パターンを理解し、活かしていくメソッドです。そのためには、消費者を徹底的に観察します。ケースによっては消費者の家に泊まりこんだりもします。

みなさんも、奥さん、旦那さんや家族の好みや行動は理解しやすいですよね。「あー、これはうちの嫁さん好きそうだな」とすぐに理解できるのではないかと思います。それを、消費者に対してもそのようになるのを目標にするのが Ethnography になります。そのために重要になってくるのは、ターゲットを絞ること。ある一定の消費者セグメントを定義し、彼ら彼女らを徹底的に理解するのです。なぜなら、全員を理解するのは難しいですからね。ある一定の消費者セグメントは、意味を持って分けられた存在であるかぎり、共通項があります。それをしっかりと理解するのに有用なのが、Ethnography になります。

具体的にはどういうことをするのでしょうか。

典型的なのは、1日ずーっとそばでぴったり観察するとかでしょうか。メガネ屋さんの例で言うと、朝起きてから、メガネにどのようにアプローチし、メガネをどのように扱い、その人にとってメガネはどういう存在で、どういう時にメガネを触るのか。それ以外にもライフスタイルはどんなヒトで、PC にはどんな姿勢で臨み、テレビはどうやって見るのか、運動はどんなのを行い、電車では何をして、好きな買い物はどんなので…、などなどを徹底的に観察します。こういう「人間の理解」が Ethnography の得意なポイントになります。

厳密には違いますが、広義の Ethnography でいくと、ショッピングを観察するのもよくやります。具体的には、お店に入ってから出るまでに、どういうところを観察し、どういうところに眼が止まり、どういう比較をして、何を買うのか、その行動をつぶさに観察します。よくある違いでは、ある消費者セグメントにおいては POP の文字をじっくり読みますが、ある消費者セグメントはまったく文章は読まずに、絵や写真だけで印象を決めてしまったりします。どういう POP を作るかは、ターゲットとなる消費者セグメントによって大きく異なりますね。このあたりは各店員さんも普段無意識のうちにやってらっしゃると思いますので、意識して見るだけでも新しい発見がありそうです。

定性調査というとインタビューが頭に思い浮かぶ方が多いと思いますが、実は非言語コミュニケーションから得られる情報はたくさんあります。Ethnography は、訪問調査以上に非言語情報の分析を重視しますのでとっつきにくいのですが、やってみるといろんな発見があって面白いかもしれませんよ!