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モデレーターが果たすべき 3 つの役割


リサーチにおけるモデレーターの役割は一体何なのでしょうか。これに関しては。モデレーターによっても考え方は様々だと思いますが、私の考えるモデレーターの 3 つの役割をここでは述べたいと思います。

リサーチにおいてはビジネスに対するビジョンを持たず、あくまでも中立

ブランドチームやクライアントからリサーチ前のミーティングで、この方向に行きたいとビジョンやパッションを共有していただくことは少なくありません。そういったチームの考えをヒアリングするのも、モデレーターにとってはビジネスの背景やリサーチの目的を知るためにとても重要な作業です。

チームと一緒に仕事をする時間が長くなってくると、彼らのブランドにかける思いも伝わってきます。そこまでたどり着くまでの苦労や葛藤を知っていればいるほど情がうつってきますが、リサーチになれば話は別です。ブランドチームがどれだけ時間をかけても、どれだけ苦労をしても、消費者にとっては目の前にでてくる商品やアイディアが全て。バイアスをかけてチームの望む答えを引き出しても、結局はチームのためにはなりません。チームの行きたい方向で消費者の反応がよければもちろんベストですが、たとえチームが望まない結果だったとしても、ただただ中立な立場として消費者の声を届けることがモデレーターの役割です。

消費者の本音・真意を引き出す

1つめで述べた”中立な立場”をとったとしても、消費者が本音を話していないなら元も子もありません。しかし、消費者の方はインタビューとなると、緊張からなのか日本人特有の礼儀正しさからなのか、見せられたアイディアや商品に関して否定や批判の言葉はなかなか口にしません。「いいと思います」「うん、かわいいんじゃないですか」などの非常に曖昧なコメントが多いのです。モデレーターは、まず瞬間的にそれが彼女/彼の心からの言葉なのかを判断することが重要です。その具体的な判断の仕方はまた別の機会に述べたいと思いますが、もし心からの言葉ではないと判断した場合は。すぐに質問を切り替えたり、聞き直したりして、真意を自分自身の言葉で語ってもらう必要があります。

言葉では表現されていない肌で感じる微妙なテンションの変化や、会話のなかに見え隠れする小さな表情の変化などを敏感に察知して、彼らが本音を語ることができるように話の流れと場の雰囲気をコーディネートしていくこと。それはインタビュー中、誰よりも消費者の近くで接しているモデレーターが担う大切な役割です。

ビジネスニーズ + 消費者目線のリサーチデザインの提案

これはインタビューを企画する段階の話になりますが、前述した消費者に本音を語ってもらうには?ということとつながる内容です。つまり、企画の段階から消費者の本音が出やすい環境や手法を選択するお手伝いをするということです。

消費者と直接話すモデレーターは、消費者の最も素直な反応を普段から感じているもの。消費者の答えにくい質問や緊張や警戒感を高めてしまう状況というのも経験から分かっています。例えば、インタビュー時間だけをとっても、通常のインタビューなら消費者にとっては90分が限界でしょう。それ以上になると集中力がきれて、投げやりな回答になってしまう可能性があります。もしどうして90分以上の内容になるのであれば、消費者のお宅やカフェなどの彼らがリラックスできる場所で実施する、消費者が飽きずに楽しみながらできるエクササイズをいくつか用意するなどの工夫が必要になってきます。

インタビューでは、聞きたいことをただ聞いていくのではなく、得たい情報を一番効果的に、そして効率的に消費者から聞き出すにはどうしたらよいか。クライアントやチームのビジネスニーズをしっかりと理解した上で、今までの経験をもとにした消費者目線での環境やエクササイズ、質問内容の提案をしていくことは、モデレーターがすべきリサーチへの貢献の 1 つです。